臭素化合物-分析法(セッションサマリー:76〜77ページ)

Jinら(O-022)は、UPLC/MS/MSを用いた土壌中のTBBPAの簡便な分析法について報告した。回収率は添加量0.061〜61.5ngの範囲で30.81〜92.52%であった。また、機器分析に要する時間は4分であり、水酸基の誘導体化も必要としなかった。今後の普及に向け、装置制御パラメータの最適化と分析プロトコールの完成が期待される。

Hangら(O-023)は、12研究機関が参加した国際的な相互検定研究の結果に基づいて、食品中のHBCDの定量におけるGC-MSとLC-MSの比較評価を行った。その結果、GC-MSとLC-MSの間で総HBCDの定量値に有意差は認められなかった。β-およびγ-HBCDの分析に問題を抱えた参加機関が多かったが、生物試料においてこれらの異性体の寄与は小さく、総HBCD値への影響は小さかった。今回分析したニシン、タラ肝油および標準溶液中の総HBCD定量値のRSDは順に35%、21%および8%であった。

Kucklickら(O-024)は、血清試料を対象としたPBDEs分析法の開発を行った。5種類の抽出法について検討を行った結果、オープンフォーカスによるマイクロ波抽出法(OFM)が最も良好な結果を示した。今後、除タンパク用の変性剤としてアセトニトリルを用いた高速溶媒抽出法(PFE)の検討が行われる予定である。GC/ECNI-MSとGC/ICP-MSを比較した結果、後者の方が約10倍高感度であった。PTVを用いた大量注入法についても報告があった。

Shelverら(O-025)は、HRGC-HRMSおよびELISAを用いて土壌中のPBDE濃度の比較を行った。13Cラベル体の回収率は25%から100%であった。約500mLの溶媒を消費するHRGC-HRMS法と比較するとELISAは環境に優しく安価なスクリーニング手法と言える。

Choiら(O-026)は、土壌試料中のPBDEs分析を目的として高速溶媒抽出法(ASE)とソックスレー抽出法の比較を行った。ソックスレー抽出法が16時間を要するのに対し、ASEの抽出時間は15分であった。また、ASEで8種類の主要なPBDEs(添加量100〜500ng)の回収率は81%〜103%であった。また、GC条件を検討した結果、27種PBDEsの分離が最も良かったのは30mのDB-1であった。

Konstantinovら(O-027)は、1H NMRおよびGC-MSを用いてDE-79工業原体中の微量成分を同定した。1H NMRにより、17の異性体が確認された。5種類の主要異性体(BDE-153、-183、-197、-196、-207)の重量存在比の合計値は1H NMRでは87.64%、GC-MSでは87.83%であった。構造不明の4種類のPBDE異性体に関する報告があった。

Haywardら(O-028)は、食物および魚油を原料としたサプリメント中のPBDEs、PCBsおよびPCDD/Fsの自動化分析法について報告した。この手法は脂肪保持材を用いたPLEおよびGPC、グラファイトカーボン捕集剤を利用している。回収率は良好であり、どのような食品についても適用可能と考えられる。

臭素化合物-化学および変化(セッションサマリー:78〜81ページ)

Stapletonら(O-169)はアメリカで採取されたハウスダストにおける十臭素化ジフェニルエーテル(BDE-209)の光分解について報告した。標準ハウスダスト試料、および一度ジクロロメタンで洗浄後、新たにPBDEsを添加したハウスダストのいずれの場合でも分解は擬一次的に進行し、その反応速度定数は約2×10-3/hであった。BDE-209の分解生成物の約半分は7臭素化〜9臭素化のPBDEs異性体であった。

Gereckeら(P-265)は土壌のモデルとしてカオリナイト(高陵石)を用い、この表面に付着させたDecaBDEの光分解について報告した。このような光分解実験では、固相深部への光透過率の制御が重要である。カオリナイト層の表面から50μm以上の深度まで透過した光は、照射光の1%未満であった。6μmの厚さのカオリナイト薄層を用いてクベルカ-ムンク理論を適用することにより、カオリナイトに付着させたDecaBDEの量子収率の試算が可能となった。

Kuivikkoら(P-269)はバルト海表層水におけるPBDEsの光分解挙動を調べた。BDE-209の光分解速度はBDE-47の50倍、BDE-99の300倍であった。また、海中の光吸収成分(溶解物および粒子状物質)の存在と混合層の深さがPBDEsの光分解速度を左右する重要な因子であることが分かった。

Noseら(P-271)はDecaBDEの亜臨界水による酸化分解処理について報告した。BDE-209は200℃で急速に分解し320℃で完全に分解した。反応初期の段階ではPBDFsの生成が認められたが、これらは反応の進行に伴い分解した。本手法はプラスチックのリサイクル過程におけるDecaBDEの除去に応用可能とのことであった。

Gellerら(P-275)はTHF溶液中でのBDE-209の光分解について調べ、分解生成物として幾つかのPBDFsおよびPBDEs(BDE-183、-196、 -197、-203、-207)を同定した。

Gouteuxら(O-171)は、加温下で臭素化重合素材から発生する臭素化モノマーについて調べた。これらのモノマーには、難分解性かつ生物蓄積性を有するものも含まれており、既にこれらの一部は環境試料から検出されている。

Koppenら(P-268)は6種類のHBCDの光学異性体の結晶構造について報告した。加熱時に(+)-γ-HBCDは主として(+)-α-HBCDに変換され、同様に(-)-γ-HBCDは (-)-α-HBCDに変換されることが明らかとなった。また、1位および2位の立体中心の転換は、5位および6位、あるいは9位および10位の転換に比べて速やかに進行することが示唆された。

Schlummerら(P-273)は低価格の電気製品(電動ドリルや掃除機)のプラスチックに含まれるBFRsを分析した。その結果、2つの試料において数種類のBFRsの混合物が検出された。この結果は、複数回リサイクル処理されたBFRs含有ポリマーの存在を示唆している。

Grabdaら(P-266)は密度関数論に基づくBFRsの熱力学的性質の理論的計算について発表した。PBDEsとPBBsの構造のギブス自由エネルギーは臭素数と共に上昇した。メタ位およびパラ位に比べてオルト位の臭素置換はエネルギー的に不利であることが分かった。

Bergmanら(O-165)は、以前の調査で見いだしたニカラグアの子供のPBDEs高暴露群(12〜16歳)を対象に血中の水酸化PBDE代謝物の分析調査を行った。人の血清から、全部で16種類のOH-BDEsと2種類のdiOH-BDEsが検出された。6-OH-BDE-47、3-OH-BDE-47、4'-OH-BDE-49、4-OH-BDE-42など、8種類のOH-BDE異性体について予備的な定量が実施された。メタ位とパラ位に水酸基が付いたOH-BDE異性体の割合が高いことと、天然物由来のMeO-PBDEsが検出されなかったことから、人体内でPBDEsの水酸化代謝が起こったことが推定された。

Marvinら(P-270)はオンタリオ湖の食物網(レイクトラウト、エールワイフ、キュウリウオ、スライミー、カジカ、アミ類、端脚類)における光学特異的なHBCD異性体の蓄積について報告した。レイクトラウトにおけるγ-HBCDの光学特異的な蓄積が示唆された。

Janakら(O-170)は座礁イルカの皮脂における光学選択的なHBCD異性体の蓄積およびカレイ由来の肝ミクロソームによるHBCDの代謝について報告した。その結果、肝ミクロソームによって(+)-β-HBCDは(-)-β-HBCDより速やかに代謝されることが明らかとなった。γ-HBCDでは光学選択的な代謝は観察されなかった。また、代謝によって水酸化HBCDsが生成することが確認された。

Huhtalaら(P-267)は、フィンランドの魚および底質におけるHBCDの異性体組成および未成熟ニジマス由来の肝細胞および肝ミクロソームによるHBCDの代謝について報告した。各異性体のin vitroでの代謝速度はα-<β-<γ-HBCDの順であり、肝細胞を用いた実験系ではOH-HBCDも検出された。

Yenら(P-274)は、台湾の河川から採取した底質中におけるBDE-47、BDE-99、BDE-100の分解を調べた。BDE-47はNan-Kan川の底質中で40日間ほとんど分解しなかったが、40日〜70日までに分解した。BDE-99、BDE-100については顕著な分解は認められなかった。

Ruiら(O-166)は、炭素放射性同位体14Cでラベル化したBDE-209を妊娠ラットに経口投与し、その体内挙動を調べた。その結果、投与量の約20%が吸収され、NoBDEs等に代謝されることが分かった。これらの体内分布は組織依存的であり、一部は胎盤を通過し胎児に移行した。

van den Steenら(O-168)は、陸生鳥類のヨーロッパムクドリにおけるBDE-209の組織特異的な蓄積について報告した。血中のBDE-209濃度(初期濃度:0.8ng/mL未満)は、シリコン製埋込チューブを用いた暴露実験開始から10日目にピーク(16.1±4.1ng/mL)に達し、その後3.3±0.4ng/mLまで減少した。暴露群では筋肉脂肪中のBDE-209濃度は肝脂肪中の約2倍の濃度であり、BDE-209は肝臓で速やかにOc-NoBDEs等に代謝されることが示唆された。

Kuriyamaら(O-167)は、妊娠期における低用量BDE-99の単回経口投与によるWisterラット母獣から幼獣へのBDE-99の移行について報告した。BDE-99は妊娠〜授乳期間を通じて幼獣に移行し、その体内で長期間残留することが示された。また、母獣におけるBDE-99の[脂肪組織中濃度]/[肝臓組織中濃度]の比は300μg/kg投与群より60μg/kg投与群で相対的に大きく、用量依存的な代謝排泄速度の変化が示唆された。

Rattfeltら(P-272)は、種々のBFRsのゼブラフィッシュへの取り込みについて調べた。42日間の暴露実験に用いた11種の難燃剤のうち、2-ブロモスチレンおよびTBBPAの2,3-ジブロモプロピル体についてはいずれの暴露群からも検出されなかった。BDE-209およびTBBPAの濃度上昇は僅かであった。

Darnerudら(P-263)は、雌のBalb Cマウスを用いて、コクサッキーウイルスB3感染によるBDE-99暴露時の解毒酵素(CYP)の遺伝子発現と酵素活性への影響について報告した。ウイルス非感染群・感染群のいずれについても、BDE-99暴露によりCYP2B遺伝子の発現レベルとPROD活性は上昇傾向を示したが、CYP1A1遺伝子の発現レベルとEROD活性はほとんど変化しなかった。また、ウイルス感染はCYP2Bの遺伝子発現を抑制することが示唆された。

Dilibertoら(P-264)は、雌のC57BL/6マウスにおけるPBDEsの尿排泄にについて報告した。14Cでラベル化したBDE-47、BDE-99、BDE-100、BDE-153を各1mg/kgの用量で単回静注投与したときの24時間後の各化合物の排泄率はBDE-47(17.8%)>BDE-99(8%)>BDE-100(2%)>BDE-153(1%)の順であった。タンパク結合画分のSDS-PAGE分析の結果、BDE-47とBDE-99はシングルのタンパクに、BDE-100とBDE-153はダブレットのタンパクに結合していることが分かった。PBDEsの排泄速度の種差と性差を考察する上で重要な知見であろう。

臭素化合物-発生源および環境中濃度(セッションサマリー:82〜85ページ)

Kemmleinら(O-127)は、異なった温度における難燃素材(回路基板、TV筐体、ポリウレタンフォーム、ABS)からのPBDEsの放出速度について報告した。空気中から検出されたPBDEsの大部分は臭素数が6以下の異性体であった。また、臭素数が7以上の高臭素化物がテストチャンバーの壁面から検出され、これらはダストなどの粒子状物質に吸着しやすいことが示唆された。

Pless-Mulloliら(O-129)は、アメリカ、イギリス、ドイツにおけるダストおよび綿くず中のPBDEs濃度を比較した。ダスト中のPBDEs濃度はアメリカとイギリスでは同程度であり、西ドイツでは比較的低い値を示した。また、全体的に綿くずではダストより約一桁低い値であった。アメリカの試料ではBDE-47およびBDE-99の占める割合が高かったのに対し、イギリスとドイツの試料ではBDE-209が主要な異性体であった。

Mandalakisら(O-128)は、ギリシャの屋内大気中PBDEs濃度について報告した。公共ビルおよび一般家庭ではBDE-47、BDE-99の占める割合が高く、コンピューターストア、コンピュータールームおよびインターネットカフェではBDE-47、BDE-28、BDE-99、BDE-209が主要異性体であった。また、家具店ではBDE-209が主要異性体であった。屋内大気中PBDEs濃度は一般家庭で低い傾向を示した。

Morfら(O-132)は、スイスにおける各種臭素系難燃剤の発生源、溜まり場および環境への放出量について考察した。ペンタBDEおよびデカBDEの環境中への放出量は年間1.9トンおよび2.2トンと試算された。またオクタBDEおよびTBBPAの放出量は年間0.4トンおよび0.3トンと試算された。各難燃剤の総使用量と比較すると、これらの推定放出量は極めて小さい値であった。

Petreasら(O-130)は、カリフォルニアにおける廃棄物(廃電子機器、廃自動車破砕物、廃水、下水汚泥)中のPBDEs濃度等について報告した。廃電子機器および廃自動車破砕物中のPBDEs濃度はppmオーダーであり、いずれもBDE-209が主要異性体であった。廃水および下水汚泥では、総PBDEsに対するBDE-209の割合は30〜40%であった。廃棄物全体の流れの中で、最もPBDEs量が多かったのは廃電子機器であり、次が家具・カーペットの廃棄物であった。

Ishikawaら(P-212)は、日本の廃電子機器、廃プラスチック、廃家具類・カーペットおよび自動車破砕物中のPBBsおよびPBDEsを分析し、ppmオーダーのPBDEsが含まれること、一方でPBBs濃度は極めて低いことを報告した。

Chiuら(P-206)はオタワの、また、Danon-Schafferら(P-207)はブリティッシュコロンビアのゴミ埋立処分場の浸出液中のPBDEsを分析し、いずれもBDE-47、BDE-99、BDE-100、BDE-153、BDE-154、BDE-209が主要な異性体であることを報告した。いずれの州においても浸出液中の総PBDEs濃度はμg/Lのオーダーであった。ブリッティシュコロンビアのゴミ埋立処分場を対象に、1980年から2005年に廃棄された電子ゴミに対応する各区画の浸出液を分析した結果、PBDEs濃度は2000〜2005年のゴミに対応する浸出液中で濃度が高かった。これらの結果は、廃棄処分後の難燃製品がPBDEsの発生源となって環境汚染を引き起こす可能性があることを示唆する。

Martinezら(P-024?)はスペインの、また、Wangら(該当発表番号不明)は中国の下水汚泥を分析し、BDE-209が主要異性体であることを報告した。総PBDEs濃度は全体的にスペインの方(41〜4200ng/g乾燥重量)が中国(6.2〜57ng/g乾燥重量)より高かった。

Schryverら(O-131)は、工場排水中のPBDEsおよびHBCD濃度について報告した。BDE-209およびHBCDが最大360ng/Lおよび480ng/Lの濃度で検出された。その他のPBDEsは検出されなかった。BDE-209およびHBCDは59試料中20試料および8試料から検出された。最も濃度が高かったのは織物仕上げ工場であった。

Offenbergら(P-222)は、アメリカの土壌中のPBDEs濃度について報告した。PBDEs濃度は0.09〜1200ng/g乾燥重量であり、その平均濃度はイギリスおよびノルウェーの報告値と比較して3〜8倍高かった。多くの試料ではBDE-209が主要異性体であったが、3つの試料ではBDE-183が主要異性体であった。

Lawら(P-215)は、ネズミイルカの脂皮中のPBDEsおよびHBCDの濃度について報告した。HBCDは 85試料全てから検出され、その濃度は10〜19210μg/kg湿重量であった。また、α-HBCDが主要異性体であった。総PBDEs濃度(10異性体の合計)は14〜13200μg/kg湿重量(16〜15700μg/kg脂肪重量)であった。1992〜2003年にかけてHBCDの濃度上昇傾向が認められたが、PBDEsの指標異性体であるBDE-47については明らかな濃度増減傾向は認められなかった。

Gamaら(P-209)は、2002〜2004年に採取したポルトガルの河川表層底質を分析した。PBDEsは約70%の試料から検出された。主要異性体はBDE-47、BDE-99、BDE-100であった。ポルトガル北部は南部よりPBDEs汚染レベルが高かった。また。また、経年的な濃度上昇傾向も示唆された。

Kajiwaraら(O-134)は、アジア−太平洋における海棲ほ乳類の脂肪組織中のHBCD濃度の経年変化について報告した。1972年のキタオットセイを除いた全ての試料からHBCDは検出された。これらの濃度は、ヨーロッパやカリフォルニアで報告されている同類の海棲ほ乳類中のHBCD濃度より明らかに低かった。オットセイ中のHBCD濃度は1972年から1990年代半ばまで上昇し、以降は緩やかな減少傾向を示した。カズハゴンドウでは、2001年のHBCD濃度は1982年の濃度の50倍もの上昇を示した。

Jiangら(P-221)は、中国沿岸部の2つの町の市場で魚介類を購入し、PBDEsやPBBs等を分析した。PBDEs濃度は広州(Guangzhou)の魚で最高値を示し、その濃度は46ng/g脂肪重量であった。全ての魚試料でBDE-47が主要異性体であったが、その他の海産物試料ではBDE-209が主要異性体であった。PBBs濃度は舟山(Zhoushan)のエビ(15ng/g脂肪重量)および広州の魚(10ng/g脂肪重量)で高値を示した。中国の海洋環境の汚染度は東部より南部で高いことが示唆された。

Staskalら(P-228)は、南ミシシッピーのナマズのPBDEs濃度について報告した。可食部中のPBDEs濃度は養殖ナマズより野生のナマズで高く、その平均値は各々0.5ng/g(6ng/g脂肪重量)および4ng/g(410ng/g脂肪重量)であった。また、前回同様、ナマズからBDE-209が検出された。

Lohmannら(P-217)は、各種の魚由来の食品および飼料を分析した。その結果、PBDEsは350以上の魚試料から0.4〜81ng/g脂肪重量の濃度で検出された。南半球の魚および魚関連試料中のPBDEs濃度は北半球の試料より有意に低かった。

Lepomら(P-216)は、北海および西バルト海の8地点で採取したマコガレイの肝臓中のPBDEs濃度について報告した。総PBDEs濃度(3〜6臭素化物)は2〜42ng/g湿重量(7〜115ng/g脂肪重量)であった。いずれの試料も異性体パターンは類似しており、BDE-47、BDE-100、BDE-154が主要異性体であった。マコガレイの肝臓中PBDEs濃度は英国沿岸の沖合および北海中部(デンマークの油田周辺)で高く、バルト海およびドイツ湾岸で低かった。

Chenら(O-133)は、台湾の12の河川の底質および異なる生息パターンの魚を分析した。底質中の主要異性体はBDE-209、BDE-197、BDE-47、BDE-183、BDE-99であった。また、生物/底質蓄積係数を計算した結果、BDE-47、BDE-100、BDE-119、BDE-126、BDE-154が魚に蓄積しやすいことが示唆された。

Sheら(P-226)は、アジサシ等の卵170試料を分析した。PBDEs濃度は最高で63000ng/g脂肪重量と極めて高い値を示し、魚の捕食が高濃度暴露の原因であることが示唆された。

Raineyら(P-223)は、アメリカのTahoe湖周辺で採取した雪、水および底質中のPBDEsを分析した。一部の雪で比較的高濃度のPBDEsが検出されたが、ほとんどの試料中では極めて低濃度であった。

Jeongら(P-292)は、韓国のHan川の底質中のPBDEsを分析した。PBDEs濃度は10〜47ng/g乾燥重量であり、アメリカのバージニア州での報告値と同程度のレベルであった。また、主要異性体はBDE-47、BDE-99、BDE-209であった。

臭素化合物:人体暴露

Fangstromら(O-201)は、スウェーデン人の母乳中のPBDEsおよびHBCDDの経年変化について報告した。低臭素化物の濃度は1990年代から2004年まで低下したが、BDE-153については上昇傾向を示した。BDE-47に対するBDE-153の比は1980年から2004年にかけて30%から99%まで上昇した。また、HBCD濃度は1980年から2004年にかけて約4倍(0.13から0.60pmol/g脂肪重量)に上昇した。

Leondiadesら(P-313)は、ギリシャ人の血清および母乳中のPBDEs濃度がヨーロッパの他の地域と同程度であることを報告した。

Konoplevら(P-312) およびPolderら(P-316)は、ロシア人の母乳等を対象にPBDEsを分析し、ヨーロッパと同程度もしくはそれ以下の汚染レベルと報告した。 Ryanら(O-202)は、北米の母乳中PBDEs濃度が最近数年間あまり変化していないことを報告した。HBCD濃度(0.20〜19ng/g脂肪重量)はヨーロッパと同レベルであり、主要異性体はα-HBCDであった。

Takasugaら(P-320)は、臭素数が少ないPBDEs異性体が8〜10臭素化物の異性体と比べて母乳中に移行しやすいことを明らかにした。また、PBDEsは胎盤から検出されたが、臍帯血からは検出されなかった。Antignacら(O-205)は、母体血清、脂肪組織、母乳、臍帯血中の臭素系難燃剤濃度について報告した。高臭素化PBDEsの血清中濃度が母乳中濃度より高いことなど、有益なデータが示された。

Chaoら(O-203)は、台湾の母乳中PBDEs濃度を分析し、出生児の体重、身長、頭囲、胸囲、ケトレー指数が高濃度群では低濃度群と比べて低いことを報告した。また、母親の生理周期との関連も示唆された。乳児の推定PBDEs摂取量は20.6ng/kg/dayと試算された。

Grumpingら(P-310)は、アイルランドの牛乳中PBDEs濃度(BDE-28、47、99、100、153、154、183)がスイスの2倍であり、ヨーロッパの報告値と比較すると低いレベルであることを報告した。

Gomara(P-314)は、スペインの食品試料を対象にPBDEs15異性体の濃度を調査し、高臭素化物の高い比率を明らかにした。特にBDE-209は魚介類以外の試料で高い比率を示した。また、BDE-184、BDE-191、BDE-196、BDE-197がほぼ全ての試料から検出された。濃度範囲はヨーロッパや日本の報告値と同程度であった。

Nakagawaら(P-315)は、日本の海産物中のPBDEs濃度を調査し、魚からのPBDEsの一日摂取量を28.8ngと試算した。TBBPAおよびPBDD/Fsも幾つかの試料から検出され、これらの一日摂取量は各々1.64ngおよび0.49pgTEQと試算された。

Sioenら(P-318)は、既報のデータに基づき、ベルギーにおける海産物からのPBDEs摂取量について試算し、BDE-47の寄与が大きいことを示した。

Voorspoelら(P-322)は、マーケットバスケット法に基づき、ベルギー人の食事を介した平均的なPBDEs摂取量を23〜48ng/dayと試算した。各食品の寄与は、魚が40%で最も高く、次いで肉、乳製品の順であった。

Silvaら(O-200)は、トータルダイエットスタディ法に基づき、イギリス人のBDE-209の摂取量を265.6ng/day 、それ以外のPBDEs摂取量を76.2ng/dayと試算した。PBDD/Fsおよびダイオキシン様PBBsの合計摂取量は5.3〜27.1pgTEQ/dayであった。

Schecterら(O-119)は、アメリカにおける食事由来のPBDEs摂取量について報告した。最も汚染レベルが高かった食品は魚であったが、アメリカでは魚より肉の消費量が大きいことを反映して、肉の寄与が最も高くなった。幾つかの食品について、調理によりPBDEs濃度が減少することも示された。

Hazratiら(O-199)は、屋内大気中のPBDEsおよびPCBsの濃度を調査した。PBDEs濃度は自動車内で最も高く、オフィス内の濃度は家庭より低かった。一方、PCBs濃度は1950〜1970年代に建築されたビル内で高い値を示した。PBDEs濃度は建物の建築年および内部のコンピューター数と正の相関関係を示した。

Allenら(P-323)は、固定式エアサンプラーおよびパーソナルエアサンプラーを用いて屋内におけるPBDEs暴露量を評価し、前者では呼吸によるPBDEs暴露量を実際より過小評価する恐れがあることを示した。

Ibarraら(P-311)は、ダスト中のPBDEs濃度が、大気中のPBDEs濃度と強い相関関係にあることを示した。ヒトのPBDEs一日摂取量における大気、食品、ダストの寄与を比較したところ、食品の寄与が最も大きかった。しかし、一部の家庭でダストの寄与が66%に達する例もあり、ダストも重要な因子であると考えられた。

Sjodinら(P-319)は、4ヶ国のダスト試料(掃除機で捕集)中のPBDEsを分析した。4〜7臭素化物濃度はドイツ<オーストラリア<イギリス<アメリカの順であった。一方、BDE-209の濃度はイギリスで著しく高い値を示した。BDE-209はいずれの国においても主要な異性体であった。総PBDEs濃度の中央値はドイツ、オーストラリア、イギリス、アメリカで各々74、1200、10000、4200ng/gであった。これらの結果から、ダストが重要なPBDEs暴露源であることが示唆された。

Thomsenら(O-204)は、ノルウェーの汚染湖で捕獲された淡水魚の大量消費者を対象にBFRs摂取量を調査した。

Takigamiら(P-321)は、電子製品リサイクル工場における職業的な臭素化合物暴露について報告した。施設の技術的な改善により、大気中の4〜10臭素化PBDEsおよびPBDD/Fs濃度が約1桁低減化されたが、バックグラウンドと比較するとまた高いレベルであった。1・2臭素化PBDEsおよびTBBPAについては低減効果は認められなかった